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先日逝去された、サー・アーサーチャールズ・クラークを追悼するつもりで。


この本はつい最近読んだけどね。






「観測する事で世界が決定される」
そんな感じのセリフが、ちょっと濃い目のサイエンス・フィクションにはちょくちょく登場するのですが。
映画だと「バタフライ・エフェクト」とか(これはライトなSFだけど)、小林泰三「酔歩する男」とか、グレッグ・イーガン「順列都市」とか。
天才てれびくんのバーチャル三部作とか。
……例えがマイナーすぎると思うけど。

こういう設定って、実際に唱えられてる学術理論がベースになっていて、量子力学における不確定性原理の「観測問題」と呼ばれるパラドックスから導き出された「多世界解釈」とか「人間原理宇宙論」とか言ったと思う。たしか。
「知性が現実を決定している」というのは哲学の歴史におけるカント(3/27追記:カントじゃねい。デカルトだった。もっと勉強して個々の知識に互換性を持たせようぜ俺、人名間違えてたら洒落にならん)のコギト・エルゴ・スムと、それに対する反応に似ていて面白い。

んで、多分、自分が知っている限りでは、本作「幼年期の終り」がひょっとしたらそれら認識論系SFのはしりじゃないかと思うんですが。
ただ、そういう種類の学術的な背景じゃなくて、、サイコキネシスとかテレパシーとか、あくまで「オカルト」として登場するんだけど。

仏教思想に影響されていた作家らしいけど、そういえば「唯識論」なんてのがありましたね。

自分はこの人の著作のうちの半分も読んだ事ないけれども、クラーク作品っていつも「人類」という総体を扱いながら、どこか圧倒的な、宇宙的なともいえるような冷徹さを感じさせて、常に「人間」が疎外されている気がするんだよね。それはキューブリック版「2001:A SPACE ODESSAY」のゾクゾクするような映像の美しさからも感じ取れる、どこか「イキモノ」としての人間の側面が否定されて、どんどん概念化、イデア化していく「ヒト」を描いている、そういう思想が根底にあるんでしょうか。

この作品にもそれはあって。若干ネタバレになりますが、なんつーか、この終わり方を「ハッピーエンド」と捕らえられる人がもし居たら、相当イッちゃってる人のような気がするなあ。

「科学の進歩は人類の進歩だ」

とは、今や一概に言えない時代になったし、そもそも「人類」なんて言葉を日常で使うと失笑を買う。
そんな現代は、ぶっちゃけいい時代だと思う。
多様性や差異を許容できない、あるいは「乗り越えよう」とか言っちゃう、「多様性フォビア」の人はどうぞ一読してみてください。

「進歩」の解釈はいくらでもある事、「進歩」が無条件に「善」であるとは言えないだろう、と。
地味な解釈ではあるけれども、冷戦時代らしい、かなり切羽詰った思想の込められている作品じゃないかな。マルキシズムが引き金としたスターリニズムとか、その対極のようなグローバリゼーションによる資本の寡占化とか、地球市民思想とか、トランスパーソナルなんたらだとか、たとえばそういう思想を突き詰めて推し進めて行ったら、どんなグロテスクな世界が待ち受けているかを、見事に描ききっているんじゃないでしょうか。




というのは、多分深読みしすぎです。

単純に、アイロニカルなSFとして物凄く面白い。
星新一のショートショートのように、あらすじだけでも十分読み手を作品世界に引き入れるポテンシャルを秘めてました。

クラークは、SFがまだ文学的な力を持っていた時代の作家であり、同時に「思想家」だったようで。
この人が亡くなったことが、ハードな意味でのSFの死に繋がらなければいいんですが、日本じゃあもう最近は、「対人類用有機ヒューマノイドインターフェイス」とかいって美少女の萌えキャラに属性つけるためのアクセサリーに成り下がったそうです、SF。いやまあ、いろんな作品があっていいとは思うんだけど。

一時代を飾った作家に、極東の島国の学生が黙祷。
彼の死についてのNASAの人のコメントが素晴らしかったし、泣けた。
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