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散々ぱら宣伝されていたコレだけど、一見してどうも薄っぺらそうな印象しかなかったので全く何も期待していませんでした。
クーリエ・ジャポンの広告で中田英俊やよしもとばななが絶賛していたのでちょっと食指が動きました。
でもポニョ観にいかなかったら一人映画館に残ってついでに鑑賞する事もなかったでしょうが。


The_Sky_Crawlers.jpg監督 押井守
原作 森博嗣
cast 加瀬亮
菊池凛子








ごめんなさい。
本当に素晴らしかったです。
ついつい手放しで絶賛したくなりました。
押井守の映画は、攻殻の一作目以外はあまり面白いと感じなかった俺ですが、これは。
心に刻み付けられる何かがありました。

実家でネットにつなげられない間、左のリンク先からいける●spotwriteのmagoshinさんに先に賞賛されてしまったのがちょびっと悔しいです。何だこの独占欲は。

この作品の全体に満ちる空気が、メンソール系煙草のような爽やかさと毒っ気のある匂いに満ちていて、どうにも切なくなるなあ。
酒にタバコに女に殺し、って、お前等どう考えても子供じゃあないっしょ。とツッコミを入れて気がついたのは、酒やタバコや女に眼が無くて、そういう時間のつぶし方しか出来ない、生のけだるさというかかったるさを抱えたまま日々を食いつなぐだけの、いわゆる大人たちもまた、子供でしかないんだろうな、とか。

ショーとしての戦争。
昔からたまに思う事。戦争映画の登場人物たち、それ自体映画の中の虚構にすぎない舞台の上で、繰り返し上映され観客に見世物として曝されている事を、彼等自身が自覚、理解したらたらどう思うだろうか、というのがあって。分かりにくいけど。この映画の構造がまさにピンポイントでそれをなぞっていたのには驚き、興奮しました。スカイ・クロラという作品自体もまたショーに過ぎないし、繰り返し上演される戦争だったわけだ。

これを書いている自分の親の世代がすでに「戦争を知らない子供達」だったわけで、自分たちの世代はさしずめ「戦争を知らない子供達」を知らない子供たちなんだけど。ただ、この社会は目に見えぬところでやっぱり戦争を繰り返していて、それはもう有名私立を目指せと受験勉強を強要されれば小学生でも気がつくような事実だと思う。中学の制服、いわゆる学ランは明治時代から続く伝統だけど、大元をたどればプロシアの軍人が着ていた軍服なのだ。というのはどうでもいい知識だけど。そして、after warの時代にも世界中で常に現実の武力を用いた紛争、戦争が絶えなかったことを知っていれば、この作品世界の設定も笑い話じゃあないと思いますよ。それも含めて、つまり人間なんてどいつもこいつも“永遠の子供達”なのか、と勘ぐってしまうよ。それは生物学的には近いけれど。

それでも、という函南のクライマックスの行動が、意味を持っていたのか、持っていなかったのか。
草薙が煙草を投げ捨てる描写が、もし「止めた」という意味合いだったのならば、冒頭の函南の「信用しないんです」というセリフに繋がって、また変化を引き起こす、それだけの物語だとしても、俺は充分そこに意味を見出す事ができました。

自分がタバコに手をつけたのは、何か、“生”を傷つけ汚す事で、“死”をまぎらわす穏やかなぬくもりをそこに感じたから、というのが一つあった。斉藤貴男編集の「禁煙ファシズムと戦う」(あんまりおススメできない本だけど)にも似たような文章があったけれど。いつ死んでもいいや、なんて気分で吸い出したものが、気がついたらやめられなくなっていて、まだ死にたくは無いな、と思ってもなかなか手放せない、という子供じみたワガママの代償みたいな場所に陥っている者としては、何かとても救われた気がした。

原作読むべきなんだろうけど、なんかこの作品一本でお腹一杯な気がするんだよなあ。
I kill my fatherは聴き取れた。

あと。
ハードボイルドだと思って劇場を出たのをすっかり忘れていた。
ハードボイルドだ、この映画。下手なやり方で、日本語喋りながらオッサン的なナルシシズムを振りかざしたらギャグにしかならないけれど、たとえば「殺しの烙印 鈴木清順監督・1967日活」とか、この映画はあえてなんだろうけど。山田詠美が「ハードボイルドなんてそもそもギャグ」と言っていたのをどこかで読んだけれども。しかし、ふと日常の空虚さを俯瞰しようとする眼が日常そのももの中に入り込んできたときに、やっぱ人はハードボイルドにならざるを得ないのかなあ、たとえ子供でも。冷めた感じで淡々と続く会話のやり取り、物憂げでどこか寂しさに満ちた世界。半分分かってて殺されてしまうラストシーンなんか、主人公の帰りを待つ恋人があきらめて去り、空が画面いっぱいに映って幕が降りる、とか西部劇じゃないですか、まさに。

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